「試合中、つい声を出してしまうんです」

保護者の方からよく聞く言葉です。わが子を応援したい気持ちは当然です。でもその声が、子どもの判断を奪っていることがあります。

コーチと親、それぞれの役割

コーチの役割は、練習の場で考える力を育てることです。技術を伝え、チームとして機能するための環境を作る。そして試合では、子どもたちが自分で判断できるよう、あえて距離を置く。

親の役割は、子どもの最大の応援者であることです。結果ではなく、努力や成長を認めてあげること。試合の勝ち負けより、子どもが楽しんでいるかどうかを大切にすること。

この二つの役割が噛み合ったとき、子どもは最も大きく育ちます。

試合中の「声」について

試合中にコートの外から「パス!」「シュート!」と指示を出すと、子どもはその声に頼るようになります。自分で考える前に、答えを待つ癖がついてしまう。

応援の声は大歓迎です。でも指示の声は、できるだけ控えていただけると、子どもの判断力は大きく伸びます。

私が新宿中学校でコーチをしていた際、保護者の方々にお願いしていたのはこの一点だけでした。それだけで、子どもたちの試合中の目つきが変わりました。

試合後の関わり方が一番大切

子どもの主体性を育てる上で、試合後の会話は非常に重要です。

「なんであそこでパスしなかったの」ではなく、「今日一番良かったプレーはどれ?」と聞いてみてください。「負けて悔しかったね」ではなく、「次どうしたいと思ってる?」と問いかけてみてください。

答えを評価するのではなく、考えること自体を褒める。それが子どもの自信と主体性を育てる最善の方法です。

大人が変わると、子どもが変わる

コーチも親も、子どものために何かしてあげたいと思っています。その気持ちは同じです。

ただ、「してあげる」より「見守る」ことが、子どもの力を最大限に引き出すことを、2年間の指導経験が教えてくれました。

大人が一歩引いたとき、子どもは一歩前に出ます。その瞬間を、一緒に楽しみましょう。

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